発達障がいのある子どもたちは増えていると耳にすることがあります。
目にすることもあります。
発達障がいの大人が増えているという人もいます。
しかし、事実としては、
発達障がいのある子どもたちがどれくらいの数存在するのかについての
継続的な調査が存在するわけではありません。
昨年末に発表された文科省の「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」についても、継続的に行われてきたわけではありません。
留意事項として、
平成14年に行った調査とは対象地域、学校や児童生徒の抽出方法が
異なることから、両調査について、「増えた」、「減った」という単純な比較をすること
はできないことに留意する必要がある。
が挙げられています。
平成14年調査との単純比較には意味がないということですから、
増えているとも減っているとも、またさして変化していないとも言いようがありません。
一方、現場の先生たちのお話しでは、
「増えている」という感想をお持ちの方が、
少なからずいらっしゃいます。
「変わらない」とお話しされる先生もいらっしゃいましたが、
「減った」という感想はお聞きしたことはありません。
発達障がいのお子さんが増えてきたという感想は、
発達障がいそのものの認知が進んできたことが要因の一つではないかと考えられます。
また、医学や生殖工学の発達により、
多くの子が生まれてくることができるようになったことが背景にあるのではないかということをおっしゃる方もいます。
いずれにしても、
時系列で比較できる調査が行われてきたわけではありません。
つまり、
「増えている」
ということに、
科学的な根拠はないということです。
むろん、
大人の発達障がいについても同様です。
ただ、
最も大切なことは、
増えていようが減っていようが、
一定の数の発達障がいのある人たちがいるという事実です。