ADHDの原因

発達障がいについての基礎的な知識として、
ADHDの原因は、脳内に起きている不都合だと理解しています。

ADHDの症状から見て、
脳の中心部位である大脳基底頗、そして、前頭葉、小脳の一部に不都合があるのではないかと疑われているようです。

他に、中枢神経系に存在する神経伝達物質であるドーパミンに関与する神経系の機能不全も指摘されています。

ADHDの特性は遺伝すると考えられていますが、男性で発症しやく女性では発症しにくいという男女差があります(男女の比は4対1です)。

また、種々の脳の病気による脳の機能障害が発生することにより、引き起こされる場合があるとのことです。

いずれにしても、ADHDの原因は、脳の機能障害であり、
育て方やしつけの問題というのは、明らかな誤解です。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の子どもたちのために

注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、
文科省のサイトを参照すると、
以下のように定義されています。

ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。

今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)

ADHDの場合は、

注意力が不十分であり、衝動的に行動し、多動性を特徴とするため、
社会的なルールに馴染むのが困難です。

このため、
とくにしつけの問題と混同されますが、

LD(学習障害)の項でも触れた通り、

発達障がいの原因は、
中枢神経の問題が推定されており、
しつけなどの環境要因が直接の原因であるとは考えられていません。

上記に抜粋を引用した文書は、
2003/03/28に答申されています。

この報告書の中でも、

また、親の会やNPOの中にはLD、ADHD等の理解の促進等を目的に活発に活動を行っているものがある。こうした草の根的な活動は、教育の充実や効果的な展開を図る上で、重要な役割を果たしうるものと考えられることから、親の会等との連携協力も図りながら取組を行うことも重要なことと考えられる。

という一節があります。

努力は重ねられていると思いますが、

発達障がいに対する社会の理解は、
まだ、十分と言える域には達していないのも事実です。

私たちを含め、
発達障がいの子どもたちのことを、
知ってもらう努力を続けていかなければなりません。

LD(学習障害)の原因は…

主な発達障がいについて、
文科省のサイトで、
定義が公開されています。

LD(学習障害)は、
以下のように定義されています。

学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。

おお、よくわかります。

詳しくは、
学習障害児に対する指導について(報告)
を参照されるのがよいと思います。

整理すると、
LD(学習障害)の障がいの状態は、

1.基本的に全般的な知的発達に遅れはない。

2.聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するという能力(のうちの特定のもの)の習得と使用に困難を示す。

そして、

原因は、

1.中枢神経系に何らかの機能障害が推定されている

ということで、

環境的な要因や他の障害が直接の原因になることはないとしています。

学習障がいの子どもは、
相手に合わせて自分の行動を調整することが苦手で、、
対人関係上の問題が起きてしまうこともあるため、

しつけの問題と混同され、
保護者が責められるようなことがあると聞きます。

また、

保護者の方も、
ご自身の「育て方」が悪かったのではないかと悩まれることもあるようです。

しかし、

LD(学習障害)に限らず、
しつけと発達障がいの関連は認められていません。

どうか、保護者の方は、
無意味にご自身を責められることのないようにしてください。

障がいと障害の使い分け

本サイトでは、
基本的に、

「発達障がい」

のように、
障がいを障害と表記しません。

この「がい」は、
障害の「害」ではなく、
障碍の「碍」をひらがなで表記したものです。

この「碍」は、「さまたげ」という意味です。

「碍」に由来する「がい」を試用するのは、

子どもたちの内に「害」があるのではなく、
子どもたちの外にある「碍(さまたげ)」を、
乗り越えるサポートを私たちは行うという考えに依拠したものです。

一方、
「障害者自立支援法」
「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」
「東京都発達障害者支援センター」
など、公的に障害を用いられているものについては、
「障害」の表記を踏襲するようにしています。

 

障害と障がいの表記について、
詳しくは、私どもの別サイト「福祉起業.net」の記事「障害と障がい」をご覧ください。

発達障がいは増えているか?

発達障がいのある子どもたちは増えていると耳にすることがあります。
目にすることもあります。

発達障がいの大人が増えているという人もいます。

しかし、事実としては、
発達障がいのある子どもたちがどれくらいの数存在するのかについての
継続的な調査が存在するわけではありません。

 

昨年末に発表された文科省の「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」についても、継続的に行われてきたわけではありません。

留意事項として、

平成14年に行った調査とは対象地域、学校や児童生徒の抽出方法が
異なることから、両調査について、「増えた」、「減った」という単純な比較をすること
はできないことに留意する必要がある。

が挙げられています。

 

平成14年調査との単純比較には意味がないということですから、
増えているとも減っているとも、またさして変化していないとも言いようがありません。

 

一方、現場の先生たちのお話しでは、
「増えている」という感想をお持ちの方が、
少なからずいらっしゃいます。

「変わらない」とお話しされる先生もいらっしゃいましたが、
「減った」という感想はお聞きしたことはありません。

 

発達障がいのお子さんが増えてきたという感想は、
発達障がいそのものの認知が進んできたことが要因の一つではないかと考えられます。

また、医学や生殖工学の発達により、
多くの子が生まれてくることができるようになったことが背景にあるのではないかということをおっしゃる方もいます。

 

いずれにしても、
時系列で比較できる調査が行われてきたわけではありません。

つまり、

「増えている」

ということに、
科学的な根拠はないということです。

 

むろん、

大人の発達障がいについても同様です。

 

ただ、

最も大切なことは、

増えていようが減っていようが、

一定の数の発達障がいのある人たちがいるという事実です。