放課後デイにおける指導員の配置

放課後デイで指導員の配置は、
10名の利用者に対し2名がルールとして求められている基準です。

つまり、1名の指導員がみるお子さんの数は5名ということになります。

 

しかし、放課後デイの実情は大きく異なります。

 

私どもが広島市西区で運営している施設の場合、現状は、1名の指導員が対応するお子さんの数は1.5名~1.7名程度です。

1名の指導員がかかりきりで対応する必要があるお子さんもいますので、そういうお子さんの利用がある日は、全体としては、指導員1名が対応するお子さんの数は、1.5名を割り込むことになります。

 

つまり、10名の利用者がある日は、指導員の配置は最低2名が求められていますが、実際には、6名から7名の指導員を配置しています。

もっと効率的に効果的なサービスを提供できればよいのですが、現実は、どこの施設も同様の効率で運営されていると思います。

 

放課後デイとして役割を果たそうと思えば、その程度の効率で経営をしなければならないということです。

しかし、配置が3名以上になれば、配置に対しての加算もありますし、この比率で指導員を配置するからと言って、放課後デイが事業として成り立たないという話ではありません。

単に、経営としての効率の話に過ぎません。

 

むろん、経営の効率は求めなければなりませんが、そのためにできることは、

スタッフの習熟の度合いを高め、対応力を高めていくことだけです。

 

効果がなければ、放課後デイとしての役割は果たせませんし、

過度に少ない人員で運営しようとすれば、安全面の懸念も大きくなります。

 

放課後デイというのは、大きく人に依存するビジネスです。

だからこそ、児童発達支援管理責任者にどのような人を置くのか、その児童発達支援管理責任者のもと、どのような指導員を配置し、育成していくのかが重大な問題になります。

 

じつは、スタッフの採用の段階から、育成も始まっていますし、経営の効率化もそこに委ねられています。

 

指導員の採用

放課後デイの指導員には、
特別な資格要件は求められていません。

むろん、
指導員に適したキャリアはありますが、
必須のものはないということです。

制度として定めのない理由はいくつか考えられますが、
それを探るのが本稿の目的ではありません。

 

資格やキャリアといった要件のない指導員の場合、
何を見て採否を決めるべきでしょうか?

 

私が最も大切だと考えるのは、
児童発達支援管理責任者との相性です。

なぜなら、

児童発達支援管理責任者が作成した
個別支援計画を実現するのが、
指導員だからです。

 

児童発達支援管理責任者が、
いくら効果的であるはずの個別支援計画を作成したところで、
現場でそれが実現されなければ、
まさしく「絵に描いた餅」になってしまいます。

 

指導員の役割を考えれば、
児童発達支援管理責任者が、
その採用に関わるというのは、
重要なことであると考えています。

 

 

ただ、一つ重要なことがあります。

児童デイサービスの施設数も、
放課後等デイサービスの施設の数も、
限られていますから、
じつは、児童発達支援管理責任者の資格要件を満たす人で、
実際に児童発達支援管理責任者の経験がある人は限られています。

 

一方、

指導員として、
児童発達支援管理責任者あるいは児童デイのサービス管理責任者を
見てきた人は少なくありません。

 

指導員としてのキャリアのある人を採用すべきか、
指導員としてのキャリアのない人を採用すべきか、

実際の採用の場面では、
大きな問題になることがあります。

 

 

指導員に要件がないからといって、
その採用が簡単なわけではありません。

 

私どものクライアントの場合、
オープニングスタッフの採用について、
お手伝いをするのはそのためです。

児童発達支援管理責任者の役割

児童発達支援管理責任者は、
個別支援計画を作成します。

お子さんと会い、
保護者の方とお話しをして、
一人ずつのお子さんに適した個別支援計画を作ります。

指導員は、
個別支援計画に則り、
子どもさんに療育を提供します。

児童発達支援管理責任者と指導員には、
異なる役割期待があります。

そのため、

児童発達支援管理責任者は、
管理者を兼務することはできますが、
指導員を兼務することはできません。

児童発達支援管理責任者でない管理者は、
指導員を兼務することも可能です。

制度として、
非常にうまく設計されています。

放課後等デイサービスにおいて、
児童発達支援管理責任者の果たす役割は大きく、
経営者はこの人選を間違えると、
思うような放課後等デイをつくることができません。

児童発達支援管理責任者が、
個別支援計画をつくり、
それに従って指導員が具体的に支援を行うわけですから、
放課後等デイのコンテンツは、
児童発達支援管理責任者にかかっています。

児童発達支援管理責任者にとっても、
考えの異なる経営者のもとでは、
十分に力を発揮することができません。

ところが、

放課後等デイサービスを事業として考える場合に、
児童発達支援管理責任者の確保は必須の要件ですから、
経営者もどうしても妥協しがちです。

児童発達支援管理責任者の方は、
まあ、いろいろです(笑)

いろいろの事情で、
職場を選ぶ人がいます。

児童発達支援管理責任者との相性が悪いために、
うまくいかない放課後デイをいくつも見てきました。

児童発達支援管理責任者の選定は、
放課後デイの経営者の大きな仕事です。

しっかりと方針を持って臨まなくてはなりません。

放課後デイは遊ぶところ??

放課後デイでは、

多くの施設で、
子どもたちは
“遊んで”います。

遊んでいることについて、
保護者にも、
理解が十分でない場合があるようです。

かつては、
児童デイサービスでも、
レスパイトがメインでした。

私がお話ししたある行政の担当者は、
いまでも当然レスパイトがメインで十分との認識でした。

療育を理解しない人が行政の担当だと、
地域に暮らす方も気の毒です。

子供の成長する力を見くびられているようで、
悲しい思いをしました。

レスパイトも、
放課後デイの役割の一つです。

そう、

放課後デイで、
子どもが大いに楽しく過ごすことはよいことですし。

子どもたちが、
安心して楽しく過ごしている時間、
保護者の方が社会に参加できる状況をつくるというのは、
放課後デイの大切な役割です。

しかしながら、
放課後デイの運営者側は、
遊びの中に目標を定めていなければなりません。

子どもたちは成長する力を持っています。

放課後デイの
児童発達支援管理責任者、
指導員は、

子どもたちが遊びの中で、
どこまで伸びてきたか、
どこがうまくいかないか、

といった子どもたちの個々の状況を把握して、
対応することが可能な立場にいます。

それを存分に活かさなければなりません。