選ばれる放課後デイ

放課後等デイサービスは、
福祉分野の事業ですが、

福祉分野の事業だからといって、
事業の基本が、他の分野の事業となんら変わるわけではありません。

放課後デイの設置の状況は地域によりかなり差があります。

すでに十分な数の放課後デイが存在する地域でも、
今は児童デイや放課後等デイサービスの過疎の地域であっても、

放課後デイを事業として検討する場合に、
「選ばれる」放課後デイをつくることを考えなければならないことは当然のことです。

 

保護者は、
お子さんのために放課後等デイサービスを選択されます。

自分のためであれば、
妥協されることもあるかもしれませんが、
お子さんのための放課後等デイサービスを選ぶときに、
妥協されることはありません。

その眼鏡に適うものでなければ、
やがて選択されない施設となってしまいます。

 

放課後デイの事業では、
基本的に「価格差」は生まれません。

料金で勝負するというような事業ではありえないのです。

 

つまり、

質的に「選ばれる」放課後デイをつくることができない以上、

やがて淘汰されることになります。

 

どうすれば、
「選ばれる」放課後デイとなることができるのか…

 

意外に考えられていない気がするのですが、

間違いなく、

放課後デイの事業化を検討する上での、
最大の課題です。

指導員の採用

放課後デイの指導員には、
特別な資格要件は求められていません。

むろん、
指導員に適したキャリアはありますが、
必須のものはないということです。

制度として定めのない理由はいくつか考えられますが、
それを探るのが本稿の目的ではありません。

 

資格やキャリアといった要件のない指導員の場合、
何を見て採否を決めるべきでしょうか?

 

私が最も大切だと考えるのは、
児童発達支援管理責任者との相性です。

なぜなら、

児童発達支援管理責任者が作成した
個別支援計画を実現するのが、
指導員だからです。

 

児童発達支援管理責任者が、
いくら効果的であるはずの個別支援計画を作成したところで、
現場でそれが実現されなければ、
まさしく「絵に描いた餅」になってしまいます。

 

指導員の役割を考えれば、
児童発達支援管理責任者が、
その採用に関わるというのは、
重要なことであると考えています。

 

 

ただ、一つ重要なことがあります。

児童デイサービスの施設数も、
放課後等デイサービスの施設の数も、
限られていますから、
じつは、児童発達支援管理責任者の資格要件を満たす人で、
実際に児童発達支援管理責任者の経験がある人は限られています。

 

一方、

指導員として、
児童発達支援管理責任者あるいは児童デイのサービス管理責任者を
見てきた人は少なくありません。

 

指導員としてのキャリアのある人を採用すべきか、
指導員としてのキャリアのない人を採用すべきか、

実際の採用の場面では、
大きな問題になることがあります。

 

 

指導員に要件がないからといって、
その採用が簡単なわけではありません。

 

私どものクライアントの場合、
オープニングスタッフの採用について、
お手伝いをするのはそのためです。

児童発達支援管理責任者の役割

児童発達支援管理責任者は、
個別支援計画を作成します。

お子さんと会い、
保護者の方とお話しをして、
一人ずつのお子さんに適した個別支援計画を作ります。

指導員は、
個別支援計画に則り、
子どもさんに療育を提供します。

児童発達支援管理責任者と指導員には、
異なる役割期待があります。

そのため、

児童発達支援管理責任者は、
管理者を兼務することはできますが、
指導員を兼務することはできません。

児童発達支援管理責任者でない管理者は、
指導員を兼務することも可能です。

制度として、
非常にうまく設計されています。

放課後等デイサービスにおいて、
児童発達支援管理責任者の果たす役割は大きく、
経営者はこの人選を間違えると、
思うような放課後等デイをつくることができません。

児童発達支援管理責任者が、
個別支援計画をつくり、
それに従って指導員が具体的に支援を行うわけですから、
放課後等デイのコンテンツは、
児童発達支援管理責任者にかかっています。

児童発達支援管理責任者にとっても、
考えの異なる経営者のもとでは、
十分に力を発揮することができません。

ところが、

放課後等デイサービスを事業として考える場合に、
児童発達支援管理責任者の確保は必須の要件ですから、
経営者もどうしても妥協しがちです。

児童発達支援管理責任者の方は、
まあ、いろいろです(笑)

いろいろの事情で、
職場を選ぶ人がいます。

児童発達支援管理責任者との相性が悪いために、
うまくいかない放課後デイをいくつも見てきました。

児童発達支援管理責任者の選定は、
放課後デイの経営者の大きな仕事です。

しっかりと方針を持って臨まなくてはなりません。

放課後デイ 倒産

「放課後デイ 倒産」
という検索ワードで、
来訪される方がいらっしゃいます。

そんな検索に引っかかるような記事を書いたか…??(笑)

 

どういう意図で、検索されているのかが分かりません。

倒産した放課後デイを買収するとかってわけでもないでしょう。

「倒産しそうな」放課後デイなら
使い勝手があるかもしれませんが。

行き詰った放課後デイの何を知りたいのか…

そんな後ろ向きな(笑)

 

私は、今のところ倒産した児童デイの話を具体的に聞いたことはありません。

あるのかもしれませんが、
耳にしたことはありません。

 

2年ほど前に、
ある自治体の担当の方と話をする機会に、
その当時の児童デイサービス施設数は、
どのあたりの数で飽和すると見込んでいるかを尋ねたことがあります。

そして、現在、その当時の飽和の見込みの2倍程度の施設数になっています。

地域によっては、
さらに人口当たりの施設数が多い場所があります。

そういった地域で、
なお施設数は増えていることを考慮すると、
少なくとも、減るより」まだ増えていることが分かります。

 

1つの施設が開業すれば、
どこかの放課後デイが廃業するという構造には至っていないということです。

だから、放課後デイは、今後とも見込みがある
というような甘い話をするわけではありません。

 

いつどんな状況で市場に参入しようと、

勝つ者が勝ち、
負けるものが負ける

だけのことです。

 

必要とされる・選ばれる放課後デイが残り、
必要とされない施設は継続できない
というのは、
至極当然のことではないでしょうか。

 

問題は、

全体の状況ではなく、
あなたの施設の状況のはずです。

繁盛する居酒屋もあれば、
閑古鳥が鳴く居酒屋もあるんです。

 

いま心配しなくても、
いずれは倒産する放課後デイは出てきます。

それは、市場に参入する時期によって決まるわけでもなく、
地域の状況によって決まるわけでもありません。

100の施設が潰れても、
あなたの施設が選ばれ続ければよいだけのことです。

如何に選ばれる施設をつくるかに知恵を絞らなくてはなりません。

発達障がいと放課後デイ

発達障がいに関する報道が増えているように感じると書きましたが、

その一方で、、

放課後デイや児童デイに関する報道は見当たらないなあと言うのが感想です。

発達障がいのお子さんや保護者の方にとって、
放課後デイの存在は重要なはずなのですが、
なぜか、放課後等デイサービスという福祉サービスについて、
言及されることがないようです。

学校
医療機関
発達障がい自立支援センター
親の会
など様々に支える仕組みがあります。

公的な機関の果たす役割は小さくありませんが、
放課後等デイサービスや児童発達支援事業の果たす役割も小さくないはずです。

お子さんの様子について相談する場所はいくつもあります。

入り口は、
公的機関や医療機関でなければならないということはありません。

放課後デイがその入り口になることも可能なはずです。

むろん、それは公的機関や医療機関を代替できるものではありません。

しかし、

お子さんの発達に不安を感じる保護者の方が、
最初に放課後デイに相談されてもよいと思うのですが…