放課後デイは飽和しているか?

放課後デイを開業しようと考える方のよくある疑問の一つが、

放課後等デイサービスは、すでに飽和しているのではないか

ということです。

この問題については、
ことあるごとに書いてきましたし、お話ししてきました。

 

たしかに、事業に参入を考えるときの視点としてはあるのだと思います。
事業を始めようと考えるときに、需給のバランスの検討は必須でしょう。

 

しかし、一方で、ラーメン屋の開業を検討する時に、最初に考えるべきことはラーメン屋が飽和しているかどうかでしょうか?

ケーキ屋で、ケーキ屋が市場に飽和しているかどうかを最優先で調べるでしょうか?

 

放課後デイの飽和が最初に気になってしまうというのは、

放課後デイで提供するサービスで他の事業者との差別化が難しい

という考えが基本にあるということでしょう。

 

万一、放課後等デイサービスが現在飽和していないとしても、いずれ飽和すると考えるべきです。

 

事業を継続することが前提であれば、

現在の飽和の状況よりも、
どのようなサービスで先行する放課後デイとの差別化を図ることができるかを検討するべきではないでしょうか?

 

ラーメン屋が味で差別化を考えるように。

現在、放課後デイの運営をされている方は、

提供するサービスのクオリティ(つまり療育)で、勝ち続けることができるかどうかが課題です。

 

評判のラーメン屋の行列は、

必ずしも、いつまでも続くわけではない
ということを知っておくべきです。

 

放課後デイ事業に限らず、

競合の状況は、たえず変化を続けるものです。

放課後デイの集客

放課後デイの集客は容易ではありません。

私たちのクライアントには、こちらから提示するすべてのことを行ってもらうようにしていますが、さして多くのことができるわけでないという問題に直面します。

セミナーで、放課後デイとして、
一般的にできる(誰でもできる)集客のメニューを示すと、
結構いろんなことができるように思われるようですが、
真面目にやれば、あっという間に、できることが底をついてしまいます。

 

あいさつ回りも、
申請後と認可後には行くことができますが、
紹介がないからと、3回目の訪問をするのは簡単ではありません。

ニュースリリースも、最初に取り上げてもらえなければ、同じ内容で二度目を行うのは無理です。

広告は可能ですが、どのような媒体を使い、どのように行うべきかは、予算の制約との相談になります。
予算が残っていなければ、そこで終わりにせざるを得ません。

 

放課後デイにとって、
私が考える最も有効な利用者募集のための手段は、
WEBの活用です。

ホームページは、

24時間365日稼働します。

見たい時に利用者(保護者)が、
自由にアクセスすることができます。

アクセスするのも簡単なら、
ページを離れることに罪悪感を感じる必要もありません。
(お店だと、出にくいってことがありますよね)

 

ただ、問題は、

インターネットを集客の媒体として活用するためには、
あなたの放課後デイのホームページが存在するだけでなく、
そこに利用者募集(集客)のための仕掛けがなされている必要があります。

ホームページは作ったけれど...
ということが起きないように、
集客の出来るホームページを作る必要があるということです。

 

ホームページの作成業者に依頼すれば事足りると考えていらっしゃる経営者がほとんどですが、彼らは、”作る”のが仕事であって、”集める”のが仕事ではありません。

 

多くの放課後デイの経営者にとって、
ホームページの作成は必ずしも容易ではありません。

しかし、

集客は事業の要です。

最も大切なところを、
仕組みも分からず丸投げするのは、NGです!

事業としての放課後デイの難しさ

放課後等デイサービスという事業は、
福祉のサービスの一端を担う事業です。

このため、これまで福祉分野の経験がなかった方の中には、「福祉」という言葉そのものに多少の難しさを感じられる方がいらっしゃいます。

また、役所に認可(事業者指定)を受けるということも、心理的なハードルになっているように思います。

むろん、福祉サービス特有の手続きはありますし、開業時の認可申請だけでなく、役所への届け出や報告など、指定事業者として求められる手続きもあります。

ただ、それは、わからない点については、尋ねながらやることができますし、うまくできないとしても、修正すれば済むことです。

しかし、それらは、放課後デイの事業としての本質的な難しさというわけではありません。

 

放課後デイの本質的な難しさは、

「障がいのある子供たちの将来を担う」

という点にあります。

 

あなたは、放課後デイの経営者として、
それに責任を持つことができますか?

 

放課後デイが提供するサービスについて、細かに決められたルールがあるわけではありませんし、マニュアルがあるわけでもありません。

子どもたち一人一人にとって、
最善のアプローチを模索するしかありません。

模索する術を知らなくてはなりません。

 

あなたの放課後デイで提供する療育の結果が
すぐに表れるわけではありません。

子どもたちにとって、
他の放課後デイよりもあなたの放課後デイに通う方が幸せだと、
根拠を示して言いきることができますか?

 

だからこそ、

放課後デイの提供するサービスとして、
仮説が立てられ、検証が行われることが必要です。

 

放課後デイをスタートさせたけれど、
何をやればいいかわからないという方がいます。

見よう見まねで始めてみるものの、

どういう仮説に基づいて、
その療育メニューが存在するのかがわからず、
どういう検証を行えばいいかもわからないままの放課後デイがあります。

 

放課後デイの開業は簡単です。
事業として成立させることも他の事業と比較すれば、難しいものではないと私は考えます。

しかし、放課後デイとしての責任を果たすことは容易ではありません。

 

子どもたちの将来を担うために、療育の質を高めることが、放課後デイにとって、当然に最大の課題です。

障害児通所支援

障害児支援については、平成24年4月以降、障害種別ごとの支援から障害児通所支援と障害児入所支援にそれぞれ一元化されました。

これは、名称やカテゴライズの変更ではなく、障がいの種類に関わらず、どんな障害であっても身近な地域で支援を受けられるようにするということが、基本的な考え方になった結果です。

放課後等デイサービス」は、障害児通所支援のひとつの種別として「就学中の障害児を対象とする」施設として位置づけされました。

障害児通所支援としては他に、
・未就学の障害児を対象とした「児童発達支援」
・肢体不自由である未就学の障害児を対象とした「医療型児童発達支援」
・保育所や幼稚園等の集団生活を営む施設に通う障害児を対象とした「保育所等訪問支援」
が設定されました。

ちなみに、障害児入所支援には、
・身体障害、知的障害、精神障害のある児童(発達障害も含む)を対象とした「福祉型障害児入所施設」
・知的障害、肢体不自由のある児童又は重症心身障害児を対象とした「医療型障害児入所施設」
があります。

放課後デイの開設手順

放課後等デイサービスは、認可(事業者指定)を受けて行う事業ですから、まず、都道府県庁・政令指定都市の担当窓口に問い合わせをすることから始まります。

基本的には、「放課後等デイサービスの事業者指定のご担当はどちらですか?」と尋ねれば、丁寧に教えてもらえます。

都道府県、政令指定都市のホームページ内で検索しても担当部署を見つけることができます。

いずれにしても、直接、確認することが大切です。

都道府県庁や市役所の担当の方に、直接当たる以外に、「正しい」情報を得る手段はありません。

認可(事業者指定)とは、そういうものです。

役所にコンタクトをとることを避けようとされる方がいらっしゃいますが、役所の担当の方は、基本的に親切です。

私どものクライアントでも、必ずコンタクトをとっていただきます。

最初のコンタクトを、私どもがクライアントの代わりに行うこともありますし、同行することもありますが、基本は、経営者の方ご自身で行って頂きます。

自治体の担当の方としても、どのような方が、放課後デイ事業に関心を持ち、参入を検討しているのかは、大きな関心事です。

事業者の指定を頂くわけですから、窓口の担当の方とのコミュニケーションは疎かにしてよいはずがありません。

また、ネット上の情報や伝聞の情報を鵜呑みにして、万一、それが事実と異なることであれば、開業の遅れや物件の選定に影響が出ないとは限りません。

ですから、放課後デイの開業の最初の手順は、役所の担当窓口へのコンタクトです。

・担当窓口を確認する。
・手続きの流れを確認する。
・自治体で独自に設けている基準の有無を確認する。

といったところです。

ここで、認可(事業者指定)のための申請の締日を把握し、施設の選定の基準が把握出来たら、開業の目標期日を設定し、開業準備を進めることになります。